緒方 さやか 氏
日本にナースプラクティショナー制度を
氏名 | 緒方 さやか 氏 Sayaka Ogata, WHNP-C, ANP-C,RN, MSN |
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年齢 | 29歳(2009年9月現在) |
現在の職業 | 婦人科、成人科ナースプラクティショナー |
現在の勤務先 | コネチカット州の外来クリニック |
出身大学・学部 | タフツ大学生物学部(2003年卒業)、イェール看護大学婦人科・成人科ナースプラクティショナー学科(2006年卒業) |
臨床専門分野 | プライマリケア |
+αの道に入る前の臨床経験年数 | 2年(NPとして) |
+αの道に入った際の年齢 | 27歳 |
+αの道の種類 | 医療政策・アドボカシー |
何故+αを選んだのか
私の主な+α活動としては、日本でのナースプラクティショナー(NP)、医師助手(PA)制度作りのお手伝いをさせていただいております。ブログや記事執筆、メディアの取材協力、講演などを通して、日本らしいNP、PA作りを考える材料を提供させてもらっています。また、アメリカの医療現場における素敵な体験と、どうしようもない事情の両方を、「スマートナース」という雑誌で連載しています。
元々私は公衆衛生に興味があったのですが、大学時代に一年休学して中米でボランティアした際、診断や治療の技術がない環境では患者教育をしても説得力に欠けると痛感しました。例えば、エイズ予防の話をしていても、その日お腹が痛ければ、セックスワーカーの人たちもとても私たちの話を聞く余裕はありません。私のかかりつけのNPの人が素敵で、その魅力に惹かれたこともあり、臨床を身につけようとNPの道を目指しました。NPになってから、診察や処方もできる高度実践看護師としてのNPという職業、また、医師やほかの医療従事者と協力してケアを提供する体制にはやりがいを感じ、診断・患者教育・フォローアップ・カウンセリングなど、「診察以上」の医療は良いチーム体制があってからこそ可能だと感じていました。
しかし、その反面、患者さんを治療しようとしても、薬代や保険の問題、ひいては社会的な要因(貧困、教育など)による限界を頻繁に痛感することになりました。 ある抗生物質が肺炎に効かず、より高価な抗生物質を処方して患者さんにすぐ飲んでねと言っても、保険会社が許可を出すまでの数日間は待たなければいけなかったりする。システム的問題の多さには、日々矛盾を感じ、もっと大きな形で医療を変えていく動きに関わりたいと考え、働きながら医療政策のクラスを受講しました。そのころ、日本の大分でNP講座を作る計画があると聞き、自分は日本人として、日本の看護、そして医療についてもっと知りたいと考えました。
どのようにして+αの道に入ったのか
そこで、以前イェールに視察に来られた際に私が通訳を務めた看護教授の先生方を一時帰国中に訪ねて、日本の看護の現状などについて伺ってきました。
その時のご縁で、数ヶ月後に日本の方々がアメリカのNPを視察する際、お手伝いをすることになり、出会いが出会いにつながり、その後の活動が広がった次第です。
+αの道はどうであったか、何を学んだか
私は親の転勤の都合で、4・8才の頃と中学卒業後からずっとアメリカで過ごしました。日本に住んだ期間は短い、逆にだからこそ「日本人」「アジア人」としての自分を常に意識してきたとも言えます。こうしてふるさと、日本の医療に関わることができて幸せに感じています。
まさに「臨床+パッション」な人々との出会いが多くあり、視野が大きく広がりました。看護界、医学界、そしてそれ以外でもロールモデルとして尊敬する人々がたくさんできて、とても刺激を受けています。また、在米日本人のNP、PA、CNS、麻酔看護師、助産師の方々がメーリングリスト設立を通して25人も見つかり、日々情報交換をし、日本に私たちで何ができるか、模索しています。
現職に+αはどう生きているか、または現職が+αそのものの場合は、臨床経験が現在どう生きているか
患者さんに、1)アクセスが楽で2)分かりやすく3)高くなく(Affordableに)医療を提供できないかと、常に臨床現場で考えるくせが、NP制度を考える際に役立っています。
また、患者さんからの「すぐに診てくれて本当に助かった」「そんな分かりやすく説明してくれた人はいなかった」という言葉に励まされ、より日本での活動をがんばれるというのもあります。
逆に、臨床現場ではNPの名に恥じないよう、より丁寧な診療や、勉強を心がけるようになりました。
今後どのようにキャリアを形成していくか
今後は看護師の役割拡大、女性医師や看護師のライフワークバランスなどの議論にももっと幅広く参加していきたいと思います。
臨床の基盤を作ってから、ガンジーのBe the change you wish to beの言葉を忘れずに、いずれは日本も含めたアジアの女性の医療に関わることが夢です。
ブログ・ホームページなど
著書など
日本外科学会誌.110(4):229-233. 2009. 米国急性期医療におけるNP、PAの医療の質とコストパフォーマンス
看護管理,19(1): 16-19. 2009. ナースプラクティショナーはミニドクターなのか?
日本外科学会誌. 109(5):291-298. 2008. 米国の医療システムにおけルナースプラクティショナー(NP)の役割及び日本でのNP導入にあたっての考察
スマートナース. 連載:アメリカNP医療事情(2008年10月より、現在)
ご自身が紹介されたマスコミ媒体など
朝日新聞、産経新聞、日経ウーマン、日経メディカル、エムスリー、医療経営フェーズスリー、ビジネスナース、看護管理 ほか