+αな人

都竹 茂樹 氏

打倒メタボ!〜日本を飛び出して視野が広がった

氏名 都竹 茂樹 氏 Shigeki Tsuzuku, M.D., Ph.D,M.P.H.
年齢 44歳(2010年7月現在)
現在の職業 大学教員
現在の勤務先 高知大学医学部公衆衛生学教室
出身大学・学部 高知医科大学・医学部・1991年,名古屋大学大学院・医学研究科健康増進科学・1995年,ハーバード公衆衛生大学院・2006年
臨床専門分野 スポーツ医学
+αの道に入る前の臨床経験年数 5年
+αの道に入った後の臨床経験年数 0年
+αの道に入った際の年齢 34歳
+αの道の種類 ヘルスプロモーション
photo_tsuzuku

何故+αを選んだのか

もともとパワーリフティングという競技を自身がやっており、またトップアスリートのコンディショニングにも従事していたので、当初はアスリートをサポートする仕事をしたいと考えていました。

しかし、国立長寿医療研究センターにおいて『長寿に関する縦断的疫学調査』に従事し、また中高年者に筋力トレーニングを指導する機会が増えてきたこともあって、生活習慣病の予防改善、高齢者の寝たきり予防・自立支援など、一般の方たちを対象にしたヘルスプロモーションの確立に強く興味を持つようになり、現在に至っています。

どのようにして+αの道に入ったのか

海外の疫学研究に興味があったため、ハワイ骨粗鬆症財団の所長に会いに行きました。財団とは何のコネクションもなかったので、手紙を書いてアポを取り付けました。それが1998年の暮れです。所長に自分の研究や論文のことをアピールしたところ幸いにも留学できることになり、翌年にはハワイで研究をしていました。今から考えれば、押しかけ同然でしたね。留学資金は日本の財団から助成を受け、1年間滞在しました。ハワイでは研究だけでなく、将来日本でヘルスプロモーションを展開することを念頭に色々情報を集め、2000年に帰国しました。

私の目指していたヘルスプロモーションが、ソーシャル・マーケティングを活用した、当時日本では異質の手法ということもあって、既存の大学や研究所に所属するのではなく、日本ボディデザイン医科学研究所という営利組織を自分自身で設立し、自治体、健保組合、企業などに普及させる道を選びました。

研究所の設立を精神的に後押ししてくれたのが、留学先であったハワイ骨粗鬆症財団でした。ハワイ骨粗鬆症財団は、個人が運営する財団でしたが、学術論文を多数publishし、結果を出せば個人でも組織を起ち上げ・運営できるんだと、大いに勇気づけられたものです(既存組織の一員として研究するより、遥かに大変ですが・・・)。今になって思えば、ハワイ骨粗鬆症財団に留学していなければ、帰国後個人で組織を起ち上げることはなかったと思います。

+αの道はどうであったか、何を学んだか

当然のことながら、開設当初は認知度もなく、また一個人が始めた本当に小さな組織だったので、ヘルスプロモーション関係の仕事は少なく、企画書を持って営業に行っては断られる日々でした。当時は健康診断などのバイトで生活を維持していましたが、その後、サポートした方たちの生活習慣病のリスクが改善するなど結果が出るにつれ、また学術論文のpublish、出版や雑誌連載、TV出演などメディアへも積極的に露出したことによって、徐々に自治体、健保組合、企業から仕事の依頼が増えてきました。

設立当初、痛感させられたのが、肩書きや組織名で判断する人が少なくないということでした。臨床医の時とはエライ違いでした。ただ、肩書きにとらわれず内容を見て仕事を依頼してくれる人たちもおり、その方たちには本当に感謝していますし、今でもお付き合いさせていただいています。

その後、仕事自体は順調だったのですが、ヘルスプロモーション、疫学、統計学はすべて独学だったこともあって、海外の大学院で系統立てて学んでみたいという気持ちが強くなってきました。そこで2005年、ちょうど40歳になるのを機に、思い切ってハーバード公衆衛生大学院(HSPH)に留学することにしました。

よく「HSPHへの留学を考えているんですが、どうでしょう?」と聞かれます。そんなとき私は、「金銭的、環境的に許されるのであればお勧めします」と答えるようにしています。その理由は、質の高い教育を受けられることもありますが、世界各国から集まった意識の高い学生(といっても多くは社会人)から、数多くの刺激を受けられるからです。日本では、絶対にこんな経験はできません。

またボストンにはハーバード以外にも多数の大学があったので、日本に居ては知り合えなかったであろう医学・公衆衛生学分野以外の日本人留学生と積極的に交流するようにしました。当時の私は、「医学界の価値観」で物事を考え、判断していましたが、彼らとの付き合いを通じて、医学以外の世界を意識するようになり、視野も広がったような気がします。これは今、ヘルスプロモーションの仕事をする上で、本当に役立っています。余談ですが、仕事の幅も広がりました。その一例が、2010年にダイヤモンドオンラインで展開したメタボ対策で、ハーバードビジネススクール卒業生の竹川さんとのコラボでした(http://diamond.jp/series/bodydesign/)。

そしてHSPH修了後の2007年からは、縁あって医学部で「ヘルスプロモーション」を教えています。大学に所属するのは初めての経験ですが、将来の臨床医に、予防の重要性、予防と臨床が繋がっていること、そしてHSPHで経験した刺激を伝え、広い視野を持った医師を育成すべく日々教育にあたっています。

今後どのようにキャリアを形成していくか

これまで確立してきたヘルスプロモーションプログラムをより発展させることと、それを広めてくれる同士の育成に努めたいと思っています。そして日本国内だけでなく、海外、とくに今後肥満や糖尿病の増加が懸念されている新興国や途上国にも普及させ、「予防できる疾病」を予防し、人々が健康に、幸せに暮らせることに貢献したいと考えています。

ブログ・ホームページなど

http://www.bodydesign-med.com/

http://twitter.com/STsuzuku

http://diamond.jp/series/bodydesign/

著書など

その気にさせるアプローチ 結果を出す特定保健指導, 日経メディカル開発(2008)

あと5センチひっこめろ!, ディスカバー(2006)

高齢者のメディカル筋力トレーニング教本, 日経BP社(2002)

ご自身が紹介されたマスコミ媒体など

http://www.monexuniv.co.jp/special/002.html

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