吉田 英司 氏
医療従事者が満足して働ける環境作りを
氏名 | 吉田 英司 Eiji Yoshida. MD. |
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年齢 | 32歳(2009年12月現在) |
現在の職業 | 代表取締役 |
現在の勤務先 | 株式会社フラバブリッジ |
出身大学・学部 | 大学医学部岡山大学医学部 2004年卒 |
臨床専門分野 | 老人内科 |
+αの道に入る前の臨床経験年数 | 2年 |
+αの道に入った後の臨床経験年数 | 現在も週に2日程度臨床をしています |
+αの道に入った際の年齢 | 28歳 |
+αの道の種類 | 経営コンサルティング、起業 |
何故+αを選んだのか
医療の世界を幸せにする仕組みを作りたいと考えたからです。
「医師というのはとても優秀で患者や医学の事を常に考えて真摯に仕事をしている」と、医学生の頃から思っていました。そして「そんな彼らが人生という視点で見たときに幸せそうにはとても見えない」とも思っていました。
現在は医療崩壊という言葉が表わすように、医療従事者も患者も共に不安・不満を抱えています。この現状を変える為には、臨床現場で一医師として頑張るだけでなく、もっと大きな仕組み作りをすることが自分の役割だとずっと考えていました。
その為には、臨床を続けるだけでは身につけることができないスキルが必要があると思い、2年間の臨床研修後に、米系戦略コンサルティングファームのベイン・アンド・カンパニー(以下ベイン)に入社しました。
どのようにして+αの道に入ったのか
臨床研修も2年目に入ったころ、具体的な将来の進路を考えました。医療のシステムの構築というと、厚生労働省や医学部の社会医学系の大学院も候補として考えていました。
ある日、戦略コンサルティングファームで働いている高校の後輩と話す機会があり仕事の内容を聞いて、自分の想いを実現するスキルを身につけるにはこの世界が一番だと確信しました。戦略コンサルティングの世界では、経営ビジョンの作成、業務改革、営業支援等の様々な角度から組織の改善を進め、しかもその手法も世界の最先端でありかつ論理的で、将来自分が医療のシステムを考えるときに必ず役に立つと思いました。
決断後は、コンサルティング専門の転職エージェントの方とお話をして、筆記や面接対策を進めました。エージェントの方とお話しして特に役に立った、という点は2点あり、1点目はコンサルティング業界特有の面接内容への対策、2点目は面接に対する心構えで、医師をしているときには全く気にしていなかった服装や立ち居振る舞いについてのアドバイスも頂きました。
就職活動の結果数社から内定を頂きましたが、最初のうちは色んな業界を経験できるというところが決め手となり、ベインを選びました。
+αの道はどうであったか、何を学んだか
学生時代から様々な業界の知人に恵まれていたので外の世界との触れ合いという意味では、それ程変わりはありませんでした。ただ戦略コンサルティングの世界の仕事の進め方、コミュニケーションの方法がとても新鮮で刺激的でした。医学生または研修医の時代は考え方が自分では論理的だと思っていたのですが、振り返ると詰めが甘いというか、そうはいっても感覚に頼る部分もあったように思います。ビジネスでは、曖昧な部分をなくし誰に説明しても納得してもらうことが必要となります。その努力をすることによりするべきことが明確になるという良い点もあります。
また「数値に落とし込めないものは達成できない」というのも今後のキャリアの中で忘れることはできない学んだ点です。その他に、会社の同僚との出会いはとても意義深いものでした。3年弱の間でしたが死ぬほど働いた同士という意味で、今後も長く付き合っていける仲間ができたと思っています。
現職に+αはどう生きているか、または現職が+αそのものの場合は、臨床経験が現在どう生きているか
私は2008年12月にベインを退社し、2009年1月に株式会社フラバブリッジを立ち上げました。「医療崩壊」の問題を解決したい、というのが大きな目的です。医療崩壊とは、結局のところ「日本に住んでいる人が良質な医療を受けることができない」と私は定義していて、その為には医療の供給者側の体制を整備する必要があると考えています。現在はその中で、病院の医療従事者の満足度向上、女性医師の職場復帰による医師不足の解消、をテーマとして活動しています。
現在の仕事へ臨床経験がどう生きているかという点では、医療従事者側の気持ちがわかるという点はとても大きいと考えています。病院コンサルティングの会社は現在多々ありますが実際に医師や看護師等の臨床を経験したコンサルタントは多くありません。どれだけ現場がわかっているかは、よりよい改善案を提案し実行する際にはとても重要なことだと感じています。
今後どのようにキャリアを形成していくか
医療の供給者側が満たされることにより、患者へ提供する医療が質・量ともに充実すると信じて活動をしています。そう思えるのも、医学生時代や研修医時代に周りにいた医療従事者の方々が真摯に働いているところを見て、医療の現場の状況を変えないと!と強く思わせていただいたおかげです。
具体的な目標としては、5年以内に1,000を超える病院で、従業員が満足して働けるように具体的な活動を進めている状況にしたいと思っています。
現在は個別の病院への対応となっていますが、将来的には従業員が満足して働くには何が必要か、というのをオープンソース化して多くの病院に取り入れていただきたいと考えています。それにより、現在の医療崩壊と呼ばれている状況が少しでも改善できればと思います。
ブログ・ホームページなど
Website:
Blog:
http://blog.livedoor.jp/flavabridge/
ご自身が紹介されたマスコミ媒体など
『最新医療経営フェイズ3』9月号
「治療」11月号