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富塚 太郎 氏

政策につながる“リサーチ”を学びにハーバードへ

氏名 富塚 太郎 氏 – その2 Taro Tomizuka, MD MSc
年齢 37歳
現在の職業 リサーチフェロー
現在の勤務先 ハーバード公衆衛生大学院
出身大学・学部 京都府立医科大学・医学部・1999年卒
ロンドン大学衛生熱帯医学大学院/政治経済学大学院・2008年卒
臨床専門分野 家庭医療
前回の記事投稿 「医療政策を学んで国会議員を目指します」(2008年1月)
《リンク先》 http://rinsho-plus-alpha.jp/people/taro-tomizuka
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1)現在の職業や近況について、医療とどう関わっているかを中心にご紹介ください。

新型インフルエンザに関連する政策研究と在宅医療安全に関する探索的研究を行っています。ハーバードには研究者としての経験を積み、理論的議論や研究手法についての知識と経験を増強すべくやってきました。

2)前回登場時から、現在に至る経緯についてご紹介ください。

前回登場時に所属していたロンドン大学衛生熱帯医学大学院・経済政治学大学院は平成19年9月に修了しました。その後英国スコットランドの医療政策を学ぶためにエジンバラ大学に籍を置きましたが、平成21年4月に国立保健医療科学院という厚生労働省の研究機関に採用されたのを機に帰国しました。医療行政プラス研究・研修という業務内容に自分のやってきたこととの整合性と魅力を感じたのが理由です。

国立保健医療科学院では医療安全に関連する研修・研究ほかを行う予定でしたが、その着手も半ばで、新型インフルエンザ対策として設置されていた厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部に併任を頂き、サーベイランスデータの集計や医療提供体制対策などの業務に従事しました。法律を含めた政策形成・実施過程や政治・行政・関連業界等のダイナミズムに関わる貴重な機会であり、臨床医・政策研究者としての知識・経験とあわせて医療政策を立体的に理解することができました。同時に自分の研究者としての未熟さを痛感したため、ハーバード公衆衛生大学院の武見フェローシップに応募し、平成22年9月よりボストンにて研究生活を送っています。

3)今後どのようなキャリアを形成していきたいか教えてください。

各々短い期間ながら、臨床と社会科学的研究と行政に関わってみて、自分が「得意で好き」なのは直接患者・地域に関わる臨床であり、「大好きだけどまだ半人前」な研究は、継続して研究者のなかで揉まれながら修行を続ける分野だと理解できました。今後は臨床と政策研究に深く関わりながら、政治的に医療政策に関与する上流からのアプローチと、地域から問題形成と解決を志向する下流からのアプローチを通じて、リサーチと政策をつなげる実践をしていきたいと考えています。

4)同じ道を志す方へのメッセージ

「医療政策研究」に関わる研究者は多くの場合、特定の専門分野(discipline:経済学、政治学、疫学など)のみならず、専門領域(issues/problems/concerns:医療財政、医療提供体制など)によって自己を定義づけ表現されています。医療関係者が「医療政策」に興味を持つ場合は多くが自身の経験による問題意識に基づいており、問題の所在を適切に把握していますが、問題の詳細を明らかにするためのdisciplineの技術的側面が不足していることがほとんどです。そのためメディアの情報を収集した皮相的議論もしくは医療提供者擁護のみのポジショントークとなり、議論が閉塞してしまいます。

説得力ある有効な問題解決を考えるためにも、現場からの問題意識とともに、上記の専門分野の学習が効果をあげると思います。一緒に学習しましょう!

 

ブログ・ホームページなど

医師が国政を目指す。http://blog.m3.com/Dotherightthing/

著書など

流れがわかる研究トレーニング How To 医系大学院・研究留学
いつどこで何する? メディカルレビュー社
臨床医のためのパブリックヘルス 中外医学社

ご自身が紹介されたマスコミ媒体など

日経メディカル 2009年4月号
医療経営情報 2010年8月号

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