+αインタビュー

国会議員になろうと思ったきっかけは何ですか?

それについてはいろいろと考えました。このまま医師・弁護士としてやっていくのがいいのか、あるいは1回限りの人生をさらに違う方向に組み立てていくのか…。 「最終的に臨床医の目指すところは、国を癒すところだ」という中国のことわざがあるんですね。医者をやっている以上は、パブリックに目覚めるんですよ。私的な意欲だけだと一生のモチベーションとして持たない。患者を診ることから始まって、何かパブリックな貢献をしたいという気持ちが、昔から強かったのだと思います。それと、オックスフォードに行ったことで、自分が日本人であるというアイデンティティをものすごく強く持ったわけですね。日本という国がなくなったら、国際的には自分たちはぜんぜん成り立ちませんよ。周りは皆バックグラウンドを見ていますし、我々が外国で評価されるのも、個人の実力だけでなく、それよりも日本という国の背景が大きいわけですよ。もし日本が他の先進国についていけないようになったら、個々の日本人もそういう目で見られるようになります。そういった意味でも、自分の支えになっている日本を、政策で良くできたらなという思いはありました。世界中から注目されたバブル期のあと、失われた15年があって、ここからですよね、大事なのは。ほうっておけば、あっという間に国は落ちていきます。それは今政治家として感じています。自分は政治家としては稀有な経歴の持ち主なので、その特徴を生かして、全力を尽くして国を盛り立てて行きたい。私は二世議員でも何でもないし、国会議員になってまだ日も浅いですが、絶対負けないバックグラウンドがあるという自負がある。哲学は誰でも語るところがありますが、医と法と経営のバックグラウンドを持つ議員は他にはいませんし、そういう意味では、自分にしかできない道を作ってきたという思いはあります。

国会議員としてはどのような仕事をされているのですか?

医療・福祉・年金などの社会保障をはじめとして、司法、とくに力を入れているのは法曹教育です。それに科学技術・経済産業。前者は科学者として関わってきましたし、後者はベンチャーを立ち上げた経験やMBAのスキルが生かせる分野です。知的財産立国という立場から、両方をクリエイティブにやっていきたい。そして、法律家として専門にやってきたことですが、環境政策もやっています。あとは高等教育問題ですね。私は、司法修習所も入れると5回の高等教育を受けたことになるので、何が足りなかったかというのがよく分かっています。今は初等教育が話題になっていますが、高等教育で本当に実務に役立つ人材を作るにはどうしたらいいか、というのをよく考える必要があると思います。これら6つのことは、かなり力を入れてやっています。正直かなり忙しいですが、すべての分野において専門経験があるので、国の政策にはプラスになっていると思います。

現在も弁護士・外科医として仕事をされているのですか?

弁護士の仕事はやっています。医師としては、手術はもうやっていませんが、外来は時間を見つけてやっています。

これからやりたいことは何ですか?

これからやっていきたいのは、大学の医学部と連携として、医療政策を提言していくこと。僕は何と言っても勤務医から与党の議員になったのが特徴ですから、日本の勤務医の現状を何とか変えて行きたい、これは本当に真剣にやっていきます。未承認医薬品・医療機器の臨床使用はこれまで取り組んできた問題ですが、これはようやくこの4月から認められることになりました。次は勤務医問題ですね。

最終的な人生目標はまだ定まってないですね。まずは議員として、今やっている仕事・興味のある仕事をきっちり片付けて、そのあとは、パブリックな組織を作って、政治家とは違う立場で日本の医療のために貢献できればと思います。

時間を有効に活用するコツを教えてください

大きな考え方として言っておきたいのは、自分を環境に合わせていくと必ずつぶれてしまう。自分から環境を適応させる、つまり周りの環境を変えていくこと、周りからなんとなく支援を得るようにすることですね。第1には周りに迷惑をかけない・ルールに従うこと、これが最低限です。そして周りに自分のことを理解してもらうこと。ひとつの仕事において、dutyをこなすのは当然ですが、それ以上のことは時間的にも難しく、周りのサポートが必要になることがあります。その分は別の形で貢献していくわけですよ。たとえば、医師と弁護士を両立していれば、弁護士の仕事に100%はコミットできないので、ある意味足手まといになっているかもしれない。でも、そこは医師として医療面で何かを持ってくることで貢献をして、周りに認めてもらう。そういったことができるかどうかですね。やっぱり「オレが、オレが」と自己主張ばかりしている人にはできないと思います。

「臨床+α」なキャリアについて一言お願いします

 「お前はいったい医者なのか、それとも弁護士なのか?どっちなんだ?」と叩かれたことはしょっちゅうですが、それにももう慣れました。ふたつの異なる分野が協調して物事を解決していくには、両方に通じた橋渡しが必要なのです。そうでなければ、ずっと平行線ですから。だから、医療が複雑化して、そのほかの様々な分野と交わっていかなくてはいけない今こそ、「臨床+α」の概念は非常に重要で、そういう人が国に求められています。

若手医療従事者に一言お願いします

もっと社会全体や外の世界に目を開いて、社会人としての素養を身につけていただきたいと思います。小さい内部世界の主導権争いにこだわらず、職域で団結して、ものを言うことが大事です。問題意識が生じたら、それを口で言うだけでなく、あとは実行しなくてはいけない。そして、一番強調したいのは、まずはしっかり臨床をやってほしいということですね。医療従事者の原点ですから。生に人と接してきたという経験は、何をするにも本当に大きい。自分も20年間患者さんと共にやってきたことは誇りだし、他の世界では誰もほかにそんなこと言えないですよ。+αをやるにしても、まずは臨床経験をしっかり積んで、常に臨床に対して謙虚であってほしいです。臨床を続ける方々はもちろん、臨床を離れてキャリアを積んでいく方々にもそこを忘れないでほしいと思います。


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