渡部 明人 氏
医師として健康的な社会創りに貢献したい
氏名 | 渡部 明人 氏 Akihito Watabe, M.D. |
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年齢 | 30歳 |
現在の職業 | 公衆衛生医師→大学院生 |
現在の勤務先 | バヌアツ共和国保健省→LSHTM/LSE |
出身大学・学部 | 北里大学・医学部・2007年度 |
臨床専門分野 | 総合診療・診断学 |
+αの道に入る前の臨床経験年数 | 3年 |
+αの道に入った後の臨床経験年数 | 0年 |
+αの道に入った際の年齢 | 28歳 |
+αの道の種類 | グローバル・ヘルス |
何故+αを選んだのか、どのようにして+α道に入ったのか
医学部2年生の時に、フィリピンのスラム街で診療補助のボランティアをしていた際に、臨床医として目の前の患者さんを治療するだけのアプローチに限界を感じました。多くの疾患は生物学的な要因だけでなく、社会制度・環境・生活習慣等の精神・社会学的な要因によっても引き起こされているため、医師として健康的な社会創りに貢献したいというのがプラスαの道を選んだ動機です。
医学生時代から、International Federation of Medical Student’s Association やYouth, Development and Peace Networkの役員をしており、日本の医療分野以外の幅広いネットワークにアクセスをしていました。世界保健機関でのインターンシップや世界総会への出席など、自分のいるべき場所のイメージはできていました。
後期研修医1年目に、偶然JICAでバヌアツ共和国の保健省で公衆衛生政策に関われる案件を見つけ、応募をしたら採用されました。同時期に、日本の厚生労働省での仕事のオファーもあり大変迷いましたが、途上国政府と共に働き、彼らの視点からグローバル・ヘルスを考える事が当時の自分には必要だと考え、2011年1月から1年半、公衆衛生医師として働きました。
臨床医としてのキャリア半ばで、プラスαの道へシフトする事への不安はありました。しかしながら、いつかはシフトする事はわかっていたので、このタイミングを逃すべきではないという判断でした。
プラスαの道はどうであったか、何を学んだか
バヌアツの保健省に赴任してすぐに、この選択肢が最善のものであると確信しました。公衆衛生分野ではまだ駆け出しの私でしたが、保健省では稀な医師であるという事と、学生時代の国際的な活動を評価され、ゼロから国の政策を作り上げるという大役を任されました。
国の医療ビジョンを作成し、チームを立ち上げ、5年計画のプライマリーヘルスケア政策が政府から正式に承認されました。若くキャリア半ばであっても、共感を与えるビジョンを提示し、キーパーソンを巻き込む事で、リーダーシップを発揮できる事を学びました。
また、政策立案にはエビデンスに基いて判断できない事も多く(特にバヌアツでは信頼できるデータを収集することが難しかった)、仮説・検証を繰り返す事で事業の精度を上げていくという柔軟性も学びました。
現職に+αはどう生きているか、または現職が+αそのものの場合は、臨床経験が現在どう生きているか
臨床では、私は総合医として全人的な医療を行うようにトレーニングを受けてきました。また、在宅医療を通して、病院以外の場で患者さんがどのように病気と共に生活しているかを学んできました。政策や教育教材を作成する際に、患者さんの様子が想像できる、新たな介入に対してどういった影響があるかをある程度想定できるという意味で、臨床経験がとても役立っています。
また、 臨床を通して患者さんが縦割りの専門家や行政サービスにたらい回しにされる弊害を痛いほど見ていたため、保健省での私の口癖は、「人間はパーツの組み合わせではない。だから、 国民の健康を守るためには、公衆衛生事業間の協調が重要である」でした。今回立案した政策で、保健システム全体の調和を重視したのは、臨床医の時の経験からでした。
今後どのようにキャリアを形成していくか
2012年の夏からは、London School of Hygiene & Tropical MedicineとLondon School of Economics & Political Scienceで医療政策や財務の勉強をします。これは、バヌアツでの医療政策の仕事を通して、自分には公共政策や公共管理についての知識や技術が不足していると痛感したためです。
卒業後は、世界銀行、シンクタンク、コンサルタント会社などで、保健システムのコンサルタント業務に携わっていければと考えています。
ブログ・ホームページなど
・個人のブログ:http://akihitowatabe.wordpress.com
・バヌアツの保健政策のページ:http://healthyislandsvanuatu.wordpress.com
ご自身が紹介されたマスコミ媒体など