+αな人

児玉 秀樹 氏

病気を治す名医だけでなく、病気にさせない名医になりたい

何故+αを選んだのか

今の歯科医療に疑問を感じていたことが、+αを選んだきっかけです。

まず、医療は年中無休であってほしいと思いませんか?私が経営するナチュラルスマイルは年中無休で営業しており、昼休診もありません。まさに「病に休日なし」です。私は、医療こそ年中無休であるべきと考えています。

また、歯科医療もすべて保険適応になってほしいと思いませんか?今日、保険と保険外診療とでは、治療技術やレベルに大きな差があります。このままでは、お金のある人とない人とで、ますます受けられる医療に差が開いていきます。それはおかしいと思ったことも、+αを選んだ理由です。当院では、なるべく保険が効くところは保険で、保険でできない部分はなるべく安く行うようにしています。

更に、経営への不安もありました。私どもの医院は、優秀な医師をヘッドハンティングして採用しています。このため非常に高い人件費がかかっています。また、大学出たての研修医が治療してもベテランが治療しても国家指定価格は同じです。当院では、価格は同じであるにも関わらず、優秀な医師を雇い、最新の医療機器を購入し、よりよい医療を提供してきました。その結果患者さんはひっきりなしに来るのですが、どんどん赤字になっていきました(笑)。

そこで、治療技術だけではだめ、人事、財務、マーケティングなど経営学を学ばなくてはいけないと思いました。そんな折知ったのが、大学院の慶應義塾大学ビジネススクールでした。

どのようにして+α道に入ったのか

まず、色んな経営学の本を読みました。そして学んだことを実践していったのです。しかし勉強だけではなんだか物足りないものでした。ところがある時、色々勉強していくうちに慶應義塾にMBAというものがあり、そこに医療・介護制度が専門の田中滋教授がおられるということ知りました。そして幸運にも田中先生の授業を聞くチャンスに恵まれたのです。

その授業に出て、私の目が開きました。

日本人は自分から意見を言わない民族だといわれますが、先生が出される質問に、塾生(慶應では学生を塾生と呼ぶ)たちは真剣に考え、誰もが次々に自分の意見を発表していました。そして場合によっては、塾生同士で熱い議論をかわしていました。私はこの授業に衝撃を受けました。
また、先生の深い授業にも感銘を受けました。財務、マーケティング、人事、組織などの学問としての経営学だけでなく、哲学、社会の歴史や仕組み、政治の盛衰など、学問だけでは学べないことを学びました。

そこで是非とも、この先生のもとで勉強がしたいと決意し、慶應義塾ビジネススクールを受験しました。

プラスαの道はどうであったか、何を学んだか

慶應では、毎晩深夜まで猛烈に勉強しました。授業はハーバードビジネススクールからはじまったケースメソッドという手法で行われています。色んな会社をモデルにし、例えば経営危機からどう立ち直らせるかなど、会社経営のあらゆる問題をディスカッション形式で考えるものです。まるで、患者さんのレントゲンと既往歴と症状から、今後の治療方針を議論する様なものです。それを数百も行うのです。

NHKの白熱授業でも放送されましたが、授業がまさに白熱しています。しかし、授業よりもさらに白熱するのが塾生同士の勉強会です。

塾生それぞれが、会計士や弁護士、医師、銀行家、大企業やベンチャー企業出身者など、色んな経歴を持つため、多様な意見を議論できる環境でした。そしてお互い熱い信頼と友情で結ばれました。私はこれほど前向きで熱心な人たちに出会ったことはありません。今ではこれが塾員(卒業生を塾員と呼ぶ)となり、親交が続いています。そしてみんな優秀な会社に入社し社長コースまっしぐらです(笑)。慶應のいいところはこの塾員同士のつながりが強い点です。

現職に+αはどう生きているか、または現職が+αそのものの場合は、臨床経験が現在どう生きているか

歯科医院はコンビニより多いと言われ、今日では、過当競争から潰れてしまう医院も多いのが現実。私の駅の西宮北口地区は、歯科医院は28軒です。今期は3軒新規オープンしましたので、31軒です(笑)。コンビニは数軒ですから、歯科医院は何倍も多いのです。

歯科医院経営においても、MBAで学ぶような、ケースメソッドは大きく役に立ちました。ケースでは、大企業を素材にしたものが多いのですが、そのエッセンスは弱小零細企業にも十分使えます。特に、リーダー論、組織、人事、財務、そしてマーケティングなど、歯科医師としては、まったく無知だったので、すべてが役に立っています。

また、田中先生のもとで学んだ医療の基本、人をいかに慈しみ、人を助けるか、人を愛するかということを常に考えるようになりました。

そして、MBAで学んだことをフルにいかして実践した結果、患者数、売り上げともにドンドン伸びています。

今後どのようにキャリアを形成していくか

私は、「病気を治す名医だけでなく、病気にさせない名医になりたい」の理念を持ち、「むし歯や歯周病のない社会」の実現を目指しています。その実現には、従来からある治療主体の歯科医院だけでは不可能です。実現には、治療(治すこと)だけではなく、予防(病気にならないこと)、啓蒙(講習会・知ること学ぶこと)の3つの融合が必要です。

治療においては、質の高い治療を常に研鑽しています。またインプラントなど口腔外科も揃え、トータルに歯科口腔保健分野をカバーしています。

予防においては、定期健診を実施しむし歯を予防しています。また子供の時期からの虫歯予防を重視し、歯を守るフッ素塗布を行っています。

啓蒙(講習会)においては、痛くなってから歯科にかかるという患者さんを少しでも減らすため、お子さん・お母さん向けや高齢者向け、そして医療職介護職向けの講習会などをボランティアで行っています。年間30回近く講演会を行っている歯科医師は、日本にはほとんどいないはずです。ご依頼があれば、遠慮なくご連絡ください。

「知らないから、行かない」、「行かないから、悪くなっていく」。私はこんな悪循環を断ち切ろうと思って活動しています。病気を治す名医だけでなく、病気にさせない名医を目指して、「治療・予防・啓蒙」活動をこれからも続けていきます。

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