+αな人

阿部 真美 氏

日本とシンガポールでの経験をもとに看護師からMBAへ

氏名 阿部 真美 氏 Masami Abe, RN, PHN, MBA candidate
年齢 27歳
現在の職業 大学院生
出身大学・学部 慶應義塾大学・看護医療学部・2008年度
慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程1年
2014年卒業予定
臨床専門分野 看護学・保健学
+αの道に入る前の臨床経験年数 3年
+αの道に入った後の臨床経験年数 1年
+αの道に入った際の年齢 25歳
+αの道の種類 海外臨床経験・経営
阿部 真美

何故+αを選んだのか

管理栄養士として栄養教育・指導を行う母の影響を受け、様々な面から健康促進を行う立場である保健師を目指し、大学に入学しました。大学では医療政策や医療経済、世界の医療保険制度に関する授業、看護管理の実習などを受けました。各医療機関から日本全体に渡る医療資源分配、看護教育、従業員の満足度・患者さんの満足度を得られるための仕組みなどを学び、医療政策・マネジメントの奥深さ・面白さを知りました。

4年次の夏にはイギリスに短期留学し、様々な上級看護師が専門性を活かし行っている看護活動や地域包括医療システムについて学びました。これらの経験から、海外の医療提供状況に興味を持ったと同時に、現場経験を積んだ後、医療政策・マネジメントに関わりたいと考えるようになりました。

大学卒業後は、保健師になる前に看護師として臨床現場で学びたいと考え、各医療職が自律しており、教育・管理体制も整っている虎の門病院の循環器センターで3年間経験を積みました。現在の総合病院では、24時間患者さんの側で医療行為・ケアを実施する看護師の負荷は大きく、若い同僚が次々と心身の不調に陥る状況を見て、以前に増して労働環境整備に関心をもつようになりました。更に自主勉強をする中で、全国の看護師2万人が過労死レベルにあること、妊娠しても3人に1人が流産予備軍である実態を知り、医療政策・マネジメントの必要性を再認識しました。

どのようにして+α道に入ったのか

4年目の時、研究者である夫の海外転勤で、シンガポールに移住する機会がありました。医療ハブ国を目指すシンガポールの医療の仕組みに興味を持っていた私は、派遣看護師・保健師の仕事をしながら3ヶ月間米国正看護師養成テキストを使って医療英語の勉強をし、シンガポールの医療機関で看護兼通訳の仕事に就くことができました。就職口を探す際は、興味を持ったシンガポールの医療機関に一箇所ずつメールで履歴書などを送りました。

翌年、個人的な都合で帰国したのですが、その時にちょうど当大学院MBA養成課程学生募集の締め切りに間に合ったため出願・受験をし、現在に至ります。

医療系大学院ではなく当大学院MBA課程を選んだ理由は、もともと慶應の学部にいたので当研究科で医療マネジメント・医療政策を研究されている数名の先生方を知っていたこと、医療は社会の一部ですので、幅広く社会の仕組みや一般企業の考え方・マネジメントの方法を知りたいと考えたからです。大まかな仕組みや法律が戦後からあまり変わっていない医療業界を変えていくためには、医療業界外に目を向けることにヒントがあると考えました。

プラスαの道はどうであったか、何を学んだか

シンガポールでは、シンガポール人・オーストラリアでの看護経験を持つマレーシア人・フィリピン人など様々な国籍・経験を持つスタッフと共に働き、基本的な看護の在り方はどの国でも同じでも、国によって教育制度、看護業務や社会進出、労働管理体制が異なることを学びました。また、シンガポールでは高度先進医療が日本よりも進んでいること、シンガポールに限らず他国はお金を払った分より良い医療を受けられるという考えが一般的であること、日本とは異なる倫理感も学びました。

ところで、近隣のクリニックではオーストラリアの大学院を卒業した看護師がマネージャーを行っていました。シンガポールに限らず他の先進国各国では、看護師や薬剤師、非医療者でも経営スキルを持った者がCEO・マネージャーとして経営に携わり経営改善させた例が多々あります。

一方で日本の医療機関は、看護師・事務職の経営参画がやっと普及し始めた段階です。しかし、例えば普段から他職種間の連絡調整を仕事とし、また患者さんに最も身近な立場でニーズを把握している看護師が、職員のほぼ半数を占める看護師をまとめながら他職種と協力して管理の一旦を担うことは、一般的なマネジメントの観点から見て自然とも言えます。ただし、一口に看護職と言っても教育課程が多様であり仕事の位置づけが個人で異なるため、全体レベルの底上げと同時に、やる気と能力のある者の教育が重要だと考えています。

大学院では、金融系・サービス系・製造系など様々なバックグラウンドを持つ同級生と共に学んでいます。企業では数十年に一度しか起こらないような解決困難事例を毎日2ケース2年間で合計約300ケース学び、多方向からマネジメントに関するプロセスや意思決定力を鍛えています。具体的に勉強している科目は、組織・会計・財務・生産・マーケティング・統計・医療経済・リーダーシップ論などです。

実際に今、一定の職員教育を行っておらず提供医療水準が不安定、もしくは職員の満足度・患者さんの満足度を得られない医療機関の倒産がはじまっています。医療産業は通常のサービス産業と異なる面があるため、全て同じではなくとも、医療を発展させ病院が生き残るためには、ビジネスの視点を要所で取り入れる必要性があります。例えば、適切に得た資金を医療提供システムや職員・患者さんに適切に還元する仕組みがない限り、医療産業の持続的発展は実現できません。

また、リーダーシップについて、外部環境変化に左右されない強い組織の作り方を学ぶ課程で、既存の考え方に捕らわれず多様な視点を経営に取り入れる必要性を感じています。外国の例をそのまま日本に取り入れることはできませんが、今後、経営視点を持った人材・各専門職者が自身の専門分野を起点にデータ・根拠に基づく戦略的な意思決定手法を身につけることで、多様な視点からより強い医療チームを作っていくことできると考えます。

現職に+αはどう生きているか、または現職が+αそのものの場合は、臨床経験が現在どう生きているか

虎の門病院は教育・人材管理システムに力を入れているため、きめ細かい教育課程やTNSに代表される労働管理システムの考え方は、組織学・リーダーシップ論や生産管理といった実践学問を勉強する上で役に立っています。また、外国での医療経験に関しては、適切に資金を得、適切に使うという考え方、各専門職種が専門性を活かすことで医療発展に寄与すること、倫理感とその背景にある文化をケースでの意思決定に活かすことができています。

今後どのようにキャリアを形成していくか

現在臨床経験が約4年と短いので、卒業後は経営に関する自己研鑽を続けながら、医療機関での保健師の立場として一定期間の現場経験を積みたいと考えています。その後、医療機関や医療コンサルティング会社、シンクタンクといった立場から経営視点を組み込んだ医療経営を現場に提案・還元させることで、看護医療の立場からMBAで学んだことを活かしていきたいです。

中長期的視点で考えると、2025年以降、医療を取り巻く環境が更に厳しくなっていくことが予想される中で、各病院の経営スキルが問われつつあります。それに向けて、少しでも日本の医療発展の一旦となることができれば幸いです。

 

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