+αな人

加藤 琢真 氏

地域医療と国際保健の架け橋を目指して

氏名 加藤琢真, Kato Takuma, M.D., MPH
年齢 33歳
現在の職業 医師・小児科医
現在の勤務先 長野厚生連 佐久総合病院
出身大学・学部 慶應義塾大学 医学部 2007年度卒
臨床専門分野 小児科医
プラスα道前の臨床経験年数 5年
プラスα道後の臨床経験年数 4年
プラスα道に入った際の年齢 28歳(22歳)
プラス+α道の種類 国際保健、地域医療、社会起業

加藤琢真

何故+αを選んだのか

地域医療を志し医学部に入学しましたが、視野を広げ、多様な価値観を共有することに面白さを見出し、長期休暇はアジアを中心にバックパッカーや孤児院などでのボランティアプログラムに参加していました。そんな中、多くの途上国が経済発展している中で、地方においても健康水準が上がっていく様子が見て取れたのですが、当時感染率数%であったタイにおいても、HIV陽性者への差別偏見は根深いことにショックを受けました。さらにHIV感染率が高く20-30%台であるアフリカでの現状は、医師になる前に自分の目で確かめなければならないという思いが強くなりました。

そうして大学5年生の時に初めて訪れたウガンダ共和国で、HIV陽性者に対するヘルスサービスのボランティアを行っている時に、当時あまり世界的にも問題視されていなかった、エイズ孤児の問題に直面しました。その後、同世代の日本人と現地ウガンダ人と協働でエイズ孤児支援NGO PLASを設立しました。そのNGOの活動を通じて国際保健の活動の面白さを実感し、一時期は医師になることを辞めて、国際保健の道に進むことも考えた程の意欲を得ました。最終的には医師として国際保健に関わる道を選ぶことにしました。

どのようにして+α道に入ったのか

前述の通り、学生時代から+α道に片足を突っ込んでいましたが、仕事として初めて国際保健の仕事をしたのは、佐久総合病院で初期研修、慶應義塾大学小児科学教室で後期研修を終えた2012年です。ザンビア共和国でJICAのHIV/エイズのプロジェクトに短期専門家として赴任しました。学生時代に始めたNGO活動を学会で発表したのが契機になりました。

また2010年には、同じ志を持った仲間と、地域医療と国際保健のキャリアアップや研修支援を行う、非営利活動法人GLOWを設立しました。学生時代から共に活動していた友人、知人と問題意識を共有したことが設立のきっかけとなりました。

プラスαの道はどうであったか,何を学んだか

プラスαの道は、医学と同様に高い専門性が求められます。日本の整備された医療環境からは見えない、本質的な住民のニーズや、保健サービス、医療サービスの提供システムに対するアプローチが求められます。そのためには、幅広く疫学・統計、医療政策、医療文化人類学などを学ぶ必要があります。まだプラスαの道を進み始めてまだ浅いため、今後も広い視野を持ち、かつ自らの専門性を高めていく必要があると考えています。

また、医療業界においては未だ応えられていない社会ニーズは多く、起業の必要性、可能性は大きいと感じています。規制が多く参入しづらい分野ではありますが、人口移動、過疎化していく中でさらに新たなニーズが生まれることが予想されます。それに対しては、柔軟に対応できるような市民活動、起業が求められていると思っています。

現職に+αはどう生きているか、または現職が+αそのものの場合は、臨床経験が現在どう生きているか

現在は小児科医として佐久総合病院で臨床もしていますが、臨床だけをしていた時より、より広い視野を持って医療システム、住民ニーズなどを感じながら働けるようになった実感はあります。

臨床をしながら国際保健を行っている医師は少ないのですが、国際保健の現状は、保健からHealth System、ユニバーサルヘルスカバレッジの概念に基づいた医療提供までが視野に入ってきており、臨床の実情を現場で活かせる機会が今後より増えてくるのではないかと思っています。

今後どのようにキャリアを形成していくか(今後の夢、可能性)

現在は長野厚生連佐久総合病院で国際保健医療科に勤務しています。アフリカで初めて仕事をして、自らの強みを獲得する必要性を強く感じました。そして日本人としての強みを身につけるべく、日本のプライマリヘルスケアの原点でもあり、そして今もなお地域医療の最前線で地域住民のニーズに応えるべく活動をしている佐久総合病院に戻って、日本の歴史、医療や健康の本質を学びながら、それらを活用できるような活動を実施していきたいと思っています。

起業情報

会社名:特定非営利法人 GLOW  http://npo-glow.org/
資本金:170万円
資本金の出所:理事メンバー(7人)
役員人数:7人、他の役員のバックグラウンド:医師、看護師、会社員
起業した年:2010年、起業準備に要した期間:1年2ヶ月

医療従事者が起業するためのアドバイス

医療は、社会的共通資本です。特に日本においては、皆保険の下で管理されていますが、国民のニーズに応えるためにはこうしたトップダウンのガバナンスだけでは不十分です。そこに起業のニーズも埋もれていると思います。医療費抑制に走る日本においては、より医療者による起業が期待されていると思います。一緒に起業による社会変革を起こしていきましょう。

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