+αな人

石見 陽 氏

医師の声を世間に発信〜社会企業家としての挑戦

氏名 石見 陽 氏 Yo Iwami, MD, PhD.
年齢 35歳(2009年6月現在)
現在の職業 会社経営
現在の勤務先 株式会社メディカル・オブリージュ
出身大学・学部 信州大学医学部 1999年卒
臨床専門分野 循環器内科
+αの道に入る前の臨床経験年数 4年弱
+αの道に入った後の臨床経験年数 週一回外来診療を継続
+αの道に入った際の年齢 30歳
+αの道の種類 経営
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何故+αを選んだのか

今でこそ「医療崩壊」という言葉が危機感を持って語られていますが、私が臨床医として経験を積んでいた2000年頃はまだ現実味を持った言葉ではなかったと思います。

そのような中、私の所属していた大学が医療ミス・隠ぺいにより徹底的なバッシングにあい、医局内の空気がそれまでの日本の医療をリードする、という雰囲気から、一転沈鬱になっていきました。私は、「医療崩壊」の前に、自身の所属先が「医局崩壊」していく様を体感したのだと思います。

私個人や周囲の同僚、先輩方は家族を犠牲にし、趣味も持たずに病棟に詰めているのに、毎日のようにメディアの報道で叩かれ続ける現実がありました。

私たちがどのような思いで医療に取り組んでいるのか、国民には伝わっているのだろうか?

この頃の私には、「目の前の患者さんを救うために自分の人生を犠牲にするのは医師の仕事として当然」という意識と、「このような状況を変えるには、医師自らが国民との情報ギャップを埋めるアクションをとる必要があるのではないか?」という意識が共存していました。

そのような迷いがある中で、様々な他業種の人々と意見交換していくうちに、後者の問題意識が私に与えられた仕事だと認識するようになり、同じころ、凄まじい勢いで地域の医療が崩壊していくのを目にして、+αを選択する事を決意しました。

 

どのようにして+αの道に入ったのか

成し遂げたいゴールは明確になったものの、手段として官からのアプローチではなく、民からのアプローチを目指していたため、どのような取り組みを行えばよいのかわからず、まずはスモール・サクセスを達成するため、インターネット上での医師人材紹介会社の一括登録サービスを「サイドビジネス」として開始しました。

上記のサービスを選択したのは、小規模で始められること、民からのスピード・小回りを生かすには、直感的にインターネットの世界が向いているに違いないと思っていたからです。

幸いこの事業により小さな成功を成し遂げることができたため、本格的な起業を決意し、現在の医師向けコミュニティサービス【Next Doctors】に取り組むこととしました。

 

+αの道はどうであったか、何を学んだか

想像していた以上に困難が多く、知恵・覚悟・度胸を常に試されている気がします。また、自分の力ではどうにもならない「天の時」「地の利」を味方にしないと、いかに優れたモデルであっても成功しない、という事例をたくさん見ました。「人の和」についても、様々な特性・しがらみを持った人々をまとめ、考えている方向に導いていくためには、明確なビジョンが不可欠で、考えてから動く、のではなく、動きながら考える柔軟性が不可欠だと学びました。

 

現職に+αはどう生きているか、または現職が+αそのものの場合は、臨床経験が現在どう生きているか

私の臨床経験は少ないですが、臨床医のころからコミュニケーションには興味があり、医師として医療チームをまとめる、ということに注目し、上手な先輩を注意深く観察するようにしていたので、そのような体験は役に立っていると思います。また、患者さんは様々な社会的背景を持っていますので、色々なタイプの人の立場や言い回しを理解する訓練、という意味でも医師の経験は非常に役立っています。また、事業としても、私の経営している会社は、私が企画担当、他の二名の役員が、製作担当と営業担当に分かれており、医師向けのコミュニティサービスとして、「医師ならどう考えるか?」という部分を経験に立脚して考えられるので、ビジネスにとって必須の「エッセンス」を吹き込む役目を果たしていると思います。

 

今後どのようにキャリアを形成していくか

私の会社で運営している医師・医学生限定コミュニティ【Next Doctors】は、今秋より日経メディカルオンライン様と共同でコミュニティを運営する事になりました。これは、医師が運営する医師のためのコミュニティとして建設的な意見交換を続けていることを評価して頂いたものであり、今後の共同運営コミュニティの管理は全て当社で担当する事になります。

当コミュニティで一貫して目指しているものは、「医師間の情報の共有と発信」です。

特定の一人の主張ではなく、個々の医師がどのような意見を持っているのか?Next Doctorsでは、その一人ひとりの声を世間へ発信していきたいと考えています。具体的な事例では、昨年、フジテレビの朝の番組に取材協力し、「産科医療」「救急医療」について、Next Doctors会員のアンケート結果を公表しました。

これは一例ですが、今後も常に社会へのインパクトを考えながら事業に取り組んでいく、社会起業家として経験を積んでいきたいと考えています。

自分の事業が軌道に乗ったら、将来的には、自分のようなキャリアを目指す医師の役に立てるような活動をしていきたいと思っています。

ブログ・ホームページなど

http://www.medical-oblige.co.jp/

ご自身が紹介されたマスコミ媒体など

日経メディカル、ばんぶう、日刊工業新聞、医療タイムス、その他

 

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